大地に育まれた水
大地のミネラルを溶かし込んで、おいしくなる
「ミネラルウォーター」と聞くと「自然の水」と考えがちですが、自然の恵みのひとつであっても「雨水」はミネラルウォーターとは呼びません。
それは、雨水はミネラルなどをほとんど含んでおらず、基本的に無味無臭だからです。冬山登山の経験がある方なら、雪を溶かして作った水があまりおいしくないことをご存知でしょう。
自然の湧き水、いわゆる「ミネラルウォーター」とは、空から降った雨水が、様々な地質層や岩石層の隙間に染み込み、その中にあるミネラル成分を溶かし込んだものを指します。一言で「ミネラル成分」といっても、その種類は、鉱物や苔、藻などの微生物も含めると、実に500種類以上に及ぶとか。地域や場合によって、すぐ近くの湧き水であっても「味」に違いを感じるのは、水が通過してきた経路が異なるから、と考えられます。
水源の環境を徹底して守るヨーロッパ
海外で「ナチュラルミネラルウォーター」という場合、採取した水に加熱処理などをせず、そのままボトルに詰めたものを指します。それは、殺菌のために加熱してしまうと、水が持つミネラルや酸素、炭酸ガス、旨味などが失われてしまうからです。その代わり、水の品質を守るために、水源に一切手を加えない、汚染から確実に保護されているなど、採水地周辺の環境に関しては厳しい保護基準が設けられているそうです。
一方、安全を重視する日本では、ミネラルウォーターにも殺菌が義務付けられています。水に含まれるミネラル成分を守るという観点から「高温瞬間加熱殺菌法」(120〜150度で1〜5秒間加熱する)を採用しているケースが多いようですが、ろ過フィルターで細菌を除去したり、オゾンや紫外線による殺菌方法をとっているところもあります。
「ミネラルウォーター」ひとつをとっても、海外と日本では品質に対する考え方や安全管理基準が異なり、大変興味深いですね。