水素を学ぼう

そもそも水素って
どういうものなの?

水素編

元素記号は「1」

水素の元素記号は「1」。元素の中で最も軽く、宇宙で最も数多く存在する元素です。水素原子は、陽子1個のまわりに1個の電子が結合した最もシンプルな構造をもっています。水素原子が生まれたのは、宇宙のはじまりである「ビッグバン」(150億~160億年前)から数十万年ほど時間が経ってからで、それまでは陽子と電子がバラバラの状態で宇宙空間を漂っていたとされています。つまり、水素はあらゆる元素の中でいちばん初めに生まれた元素であり、万物の源ともいえる存在です。

宇宙一小さい分子

一般に「水素」という場合、水素分子(H2)を指す場合が多く、常温・常圧の中では無色無臭です。ただし、地球の表面に存在する水素のほとんどは酸素と結合した水という形で海水の状態で存在しており、水素分子としてはあまりなく大気中の濃度は0.0001%以下しか存在しません。
水素に「爆発しやすい」というイメージを持つ方が多いようですが、水素分子は常温ではとても安定しており、爆発するためには4.65%以上の濃度が必要です。しかも、水素は分子量が小さいため、他の気体よりはるかに運動速度が大きく、酸素と比べても約4倍の早さで動き回ります。子どもの頃、理科の実験で水を電気分解したことを覚えている方も多いと思いますが、このときに発生した水素分子H2は、うまいこと閉じ込めないと火がつかなかったように、拡散していってしまいました。

水素と酸素が結びついて水に

水の化学式は「H2O」Hは水素、Oは酸素なので、水は水素と酸素が結びついてできたものであり、水の主成分は水素といえます。「水素」という日本語はまさに「読んで字のごとし」ですが、もともとはオランダ語の「waterstof」を「water=水」と「stof=素」に分け、漢字をあてたものといわれています。
水素を気体と分離して発見したのは、イギリスの化学者・物理学者であるヘンリー・キャヴェンディッシュで、後にフランス出身の化学者アントワーヌ・ラヴォアジエによって「hydrogene」と命名されました。現在、世界共通語は英語名の「hydrogen」が使用されており、元素記号の「H」はその頭文字をとったものです。ちなみに、「hydrogén」はギリシャ語の「üδωρ=水(ラテン文字表記:hydôr)」と「 γννεν=発生(ラテン文字表記:gennen)」を組み合せてできた言葉で、「水を生むもの」という意味を持っています。

水にも油にも溶ける

細胞膜は脂でできているため、水溶性の物質は突き抜けることができません。一方、細胞質は水溶性なので、水に溶けない物質は作用することができません。そんな中で、水素だけは細胞内のどこにでも入っていくことができます。それは水素が気体の分子で、水にも油にも溶けるからです。

製鉄から食品まで、幅広く活用される水素

水素が製鉄所や化学プラント、石油精製などで大量に使用されていることをご存知ですか。たとえば、ステンレス鋼などを熱処理する際は表面をピカピカにするための添加剤として、プラスチックなどの樹脂生成時も添加剤としても使われます。また、半導体や液晶パネル、LEDの製造では、原料のガス希釈などに還元力が強く、もっとも軽い物質という特性を活かして、水素ガスが利用されています。さらに、マーガリンや口紅の製造では、原料油脂を固める硬化剤として働くなど、とても幅広い分野で活用されているのです。
かつて水素は、飛行船にも広く利用されていました。ところが、1937年に米国で起こったヒンデンブルク号の爆発事故を境に、現在は不燃性のヘリウムガスが主流となっています。この事故によって「水素は危険」というイメージが広がったといわれていますが、近年、事故の原因は水素爆発ではなく、気体の布部分に使われていた塗料の成分に雷による帯電・放電によって火がついたことが原因だった、という説が提唱されています。それは、当時の写真を見ても分かりますが、水素の燃え方とは違った燃え方をしているのも根拠の一つです。1990年代には水素をエネルギーとして活用すべく、車の開発も行われました。2015年は環境に優しい水素の燃料自動車が走り始めます。

水素の作り方

水素を生み出すのは意外と簡単で、中学校の理科実験でも行われています。代表的なのは、鉄、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、スズなどの金属に塩酸をかける方法。また、水に電気を流して電気分解すると、陽極に酸素が発生し、陰極に水素が発生します。ただし、純水な水は電気を通さないので、実験では少量の水酸化ナトリウムを溶かして行うのが一般的です。

水素は私たちの世界の中で重要な役割を担っています。
しかも水素は人間の体にとっても驚くべき効能を持っているのです。

水素の力と効能 ページでは水素の持つ力を詳しく解説します。